EKAKI House

絵描きの家

Concept

 敷地は、道々沿いの羊蹄山に対峙する旧小学校の跡地約900坪。隣地には、その校舎の一部が残っていて陶芸家が暮らしている。配置計画は、昔の風景を大切にしながら、新しい建物がその場に馴染んでいくように、位置や向きは当時のままに自然と決まっていった。
 クライアント夫婦は、それぞれ油絵、水彩画を描く。互いの創作活動を尊重するため、油絵用のアトリエをギャラリーとともに別棟にする計画を希望された。そこで、母屋とアトリエ棟の2つのボリュームの関係を微調整しながら、外部(アプローチ動線やエントランス位置など)や内部(方位、明るさ、窓からの眺めなど)の構成を考え始めていった。
 2棟の使い勝手を考慮しながら、母屋とアトリエ棟を少し離してその部分に共用のエントランスポーチを設置。その際、それぞれの棟を単に一直線上に配置するのではなく、少しずらして計画することで母屋のリビングからの視野が広がり、開放感が生まれた。
 内部についても、いろいろ検討した結果、夫婦2人暮らしのため浴室、トイレ、ユーティリティー以外の空間をつなげたプランとなった。母屋のコア的役割としてリビングに吹き抜けを設け、2階、ロフト、ネストと縦へのつながりも付与して、内部の気配を互いに感じられるような空間になっている。息子さん家族が帰省してきた際に個室がつくれる工夫はあるが、基本的に1つの内部空間である三角屋根のボリュームの中に、コーナーごとの特性に応じた役割を持たせつつ、平面・断面をつなげている。
 収納は、計画当初はあったが、出来るだけ広い空間を優先させ、間仕切りも最小限にした。それにより、さまざまな暮らしのシーンが柔らかくつながって、魅力的な生活が繰り広げられると期待している。
 アトリエは 北側に連窓を設けて、作業スペースとし、ギャラリースペースは 展示パネルをフレキシブルに取付け対応出来る様に上部に梁を架けておいた

 素晴らしい立地条件を生かすため、全体を通じてけれん味の無い素朴なものを心がけ、デザインだけが前面に出ることのないように、材料や色、かたちを決定していった。それは、クライアントと共通の想いであり、楽しい作業だった。

DATA

所在地   北海道倶知安町
用途地域  都市計画区域外
敷地面積  2972.65㎡
建築面積  114.28 ㎡
延床面積  139.12 ㎡
構造規模  木造在来、地上2階建て