Kawashima Ryokan

北海道豊富温泉 川島旅館

写真:並木博夫

旅館正面

宿泊棟

駐車場側入り口

正面玄関

ラウンジと吹き抜け

階段

ロビー横ギャラリー

二階廊下

二階廊下2

客室A

客室B

客室C

食堂

風呂1

風呂2

露天風呂

ラウンジの暖炉

 
 

Concept

 稚内市から南に約40kmにある豊富温泉は、大正15年、石油の試掘の際に高圧の天然ガスと共に43℃のお湯が噴出したことから開湯した温泉で、日本最北の温泉郷といわれてきた。
川島旅館は創業昭和2年の老舗で、1代目、二代目と全盛期の豊富温泉を支えてきたが、温泉街は衰退を迎える。平成に入ってからはアトピーや乾癬などの皮膚疾患によいとの評判が高まり、長期滞在する方が増え、現三代目の松本康宏は、豊富温泉のリーダーとして、アトピー療養者の受け入れや移住の取り組みにも積極的に携わる。その三代目がこの度、川島旅館の建て替えすることになり、設計の依頼を頂いた。
 
 
 この旅館は湯治客も訪れる温泉旅館である。そのため全17部屋ある客室のうち、10部屋が一人部屋となっており、それは地方出張のビジネスで来る宿泊者のニーズにも対応出来る計画である。
 湯治客は、連泊で部屋に閉じこもってしまう人も多いようで、少しでも部屋の外でいろんな人と情報交流や、読書コーナーでくつろいだりできるよう、パブリックスペースの配置等工夫をし、宿泊室を最小限(旅館業法による7㎡以上)に設えることで、宿泊者のアクティブ化と予算面のケアに配慮した。
 
 
 一般的な純和風温泉旅館のイメージではく、北海道の地方のまちの’らしさ’のようなものを探しながら、以前の旅館で使用していた照明器具や鏡などをちりばめて、あしあとの記憶を残しつつ計画していった。
もともとの「常連客や地元の方々が集うアットホームな雰囲気のある宿」というスタイルを新しい建物でも引き継いで、初めてのお客さんでも引き込まれていくような雰囲気をアプローチからのエントランスやラウンジ、ロビー等の動線計画で結びつけた。そこに帳場や三代目家族の居住スペースとの距離感、日帰り入浴の人や宿泊者の動線、その交差する場所にたまり場を計画。

DATA

所在地   北海道豊富町